研究概要 |
個人情報の秘守義務などから,病院内における調査の規制が厳しくなり、病院で患者の脳波は測定できないことがわかった。そのため次のように、実験室内での騒音聴取時の脳波の測定と病院内での環境評価はまったく分けて行うことにした。 1騒音聴取時の脳波の個人差と安定性 これまで各種騒音下における脳波の変化について検討してきたが、個人差や、測定時の偶発性などについては未検討であったので、そこを重点的に実験を行った。複数の日本人被験者に、同じ音刺激を3回ずつ暴露し、脳波を測定した。これまでの実験から、各種脳波のうちα2波が騒音に対する変化として検討対象に最適であるという結果を得ていたので、これを対象に考察した。約7割の被験者では3回の電位が安定していることが確認された。しかし個人差はあり、3回の値は一定で安定していても、電位の値はある範囲内で高い者と低い者があった。 2日本人とドイツ人の音に対する脳波とnoisiness評価の相違 日本人と欧米人とでは音の種類により右脳、左脳の働きが異なるという研究があり、それを確認するためにドイツのミュンヘン工科大学のFastl教授の協力を得て、日独両被験者の各種音源聴取時の脳波の測定とnoisiness評価をME法により行った。日独では、日本人の方が騒音に敏感であることがわかった。 3これまでいくつかの病院で行われた居住後評価法による環境調査で、その手法の妥当性を確認し、日本とドイツの病院で音環境を主とした、環境評価を行うことができた。20箇所あまりの24時間連続測定から、会話、足音など日常注意すれば軽減できる騒音も多いことが判明した。床仕上げを抗菌性のカーペットにするのは足音対策上、有効であることも確認できた。
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