逆流の生じる給気口位置に対して、羽根の角度調節ができるガラリによる逆流防止方法を検討した。実験は金沢工業大学17号館の気流実験室(同形状の区画(W3000×D3000×H2200mm)が隣接し、一方を給気室、他方を非給気室とする)で行った。非給気室側を火災側とする。基本的に給気室と非給気室は間仕切り壁で接しており、壁には開口部(W900×H1800mm)を設けている。これを遮煙開口部とする。 遮煙開口部での風速と共に空気流動状況(主に逆流)を把握するため、三次元超音波風速計(KAIJO.WA590)を用いて25点を各一分ごと測定した。 給気口にガラリを使用し、給気口の位置を正面、側面、天井の3ヶ所に変えた実験を行った。使用したガラリは上下左右に自由に角度を変えることができるものを使用した。ガラリ角度の組み合わせは、上下左右30°ずつ変化させた23ケースを実施した。実験したすべてのガラリ角度のケースをシミュレーションでも行い、両者の結果から考察を行った。使用したガラリは縦軸の羽根が前方にあり、横軸の羽根が後方にある。羽根の前後の違いがどのように影響を与えるかも検討した。 羽根の縦軸が前方にある方が逆流が少ない。前方の羽根は設定した角度で空気が広がるのに対して、後方の羽根では角度をつけても空気が広がらない結果となった。後方の羽根は、角度をつけるとガラリの側面に気流が当たり跳ね返るのが原因である。このことはシミュレーションでも確認できた。また、この実験により上下の気流より左右からの気流のほうが逆流対策には効果的であることがわかった。 逆流しなかった結果のほとんどは左右の角度変化によるものとなった。このことから開口部に対して側面から間接的に給気することが遮煙には効果的であることがわかった。火災室の排気口は大きいほど効果的である。
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