建築空間の視覚的表層構造と意味的深層構造とを関係づける数理論理的構造モデルに基づき、建築空間と形態を生成する計算機システム・プロトタイプを構築した。さらに、建築空間の構成手法や設計操作のモデル化を行い、音楽とのインタラクティブな連係システムの開発に着手した。一方、音楽生成のプロセスのモデルに基づいて開発した自動作曲システムを拡張する。また、音楽における様々な作曲手法のモデル化を行い、建築空間とのインタラクティブな連係システムの開発に着手した。具体的には次のことを行った。 1)象徴的建築、庭園、サウンドスケープなどの現地調査を行い、その調査結果に基づき、空間構成要素の配置を象徴的空間が意味する内容に対応づける関数である建築空間の意味論の原案を形式表現した。また、音楽の構成を象徴的空間の意味に対応づける音楽の意味論の原案を形式表現した。 2)空間の象徴的意味を建築空間や形態に翻訳して生成するシステム(空間生成システム)のプロトタイプを実装した。 3)多種の楽曲を資料とし、時間軸上に配置することにより音楽の構成要素である和音や旋律を生成する単位操作となる作曲技法を抽出してモデル化した。 4)音楽の構成と空間構成とに共通する図式を論理表現し、空間生成システムと自動作曲システムとを連係するための中間言語及びその処理システムのアウトラインを検討した。 5)音楽の構造を聴覚及び視覚表現することを視野に入れ、単位操作を組み合わせて意味の記号表現を楽譜の記号表現に翻訳することにより、象徴的意味に基づいて音楽を生成し演奏するとともに音楽を形によって表現するシステムを試作した。
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