研究概要 |
1.市民まちづくり活動の年表作成:兵庫のまちづくり活動に関する年表を作成し,時代区分を(1)始動期,(2)発展期,(3)復興まちづくり期,(4)展開期とし,まちづくり活動の各期の特性を明示した。また,まちづくり単位を年代区分ごとに位置づけ,空間像データベースの基礎資料とした。 2.空間像データベースの作成と地域空間像の形象的分析による類型化:まちづくり単位ごとの地域空間像を収集し,空間像データベースを作成した。さらに空間像のテーマと内容,スケール,目標,制度,表現形式から地域空間像の類型化を行い,その性格を規定する6つの類型を得た。 3.地域空間像の形成プロセスに関する調査・分析:類型を考慮し,旧居留地地区,新在家南地区,新長田駅北地区東部,野田北部地区を抽出し,ヒアリングおよび地域住民を対象とするアンケート調査によって地域空間像の形成プロセスに影響する要因分析を行った。その結果,まちづくり活動内容,地区の歴史的背景(歴史的要素),着眼点,重要視する要素などが空間像形成プロセスに影響を与えており,空間像の成立,認知,評価に影響を及ぼしていることが分かった。 4.地域空間像と実現された実態空間,実現手法相互の関連調査・分析:空間像が実現された実態空間を対象として,まちづくり目標,実現された空間,地域空間像の3要素からなる地域空間像の達成に関わる評価モデルを設定し,対象地区のそれぞれについて,(1)整備計画や規制誘導を示す地域空間像と実態空間のイメージ評価の差異,(2)目標を示す地域空間像と実態空間の差異を把握するために,シュミレーション画像をもちいた画像認知実験を実施し,地域空間像のまちづくりにおける有効性を評価した。その結果,上記(1)と(2)の間の達成度について相関関係があり,そこに4つに類型化されることがわかった。また空間像の達成度について,空間像形成プロセス,事業・規制誘導手法との関連分析を行った。 5.地域空間像の効果の検証:以上の調査・分析を総括して,地域空間像のまちづくりに対する種々の1レベルでの貢献を評価し,その有効性を検証した。その結果,(1)まちづくりの目標像としての有効性,(2)まちづくり活動の持続性としての有効性,(3)まちづくり活動の共有化としての有効性の3つの視点を提示し,そこに地域空間像の意義を展望した。
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