平成18年度に着手した社会実験について、その経緯を分析し整理した。 子どもが主体となり地域の生活空間を改善する取り組みを推進する条件として、(1)安定した居場所づくり、(2)子どもの生活空間の実態の実証的把握、(3)地域社会と連携した実践、の三つを備えた取り組みとして、「コミュニティサロン」における居場所づくりを基盤とした「リサーチ&アクション」を那覇市内の一つの小学校区において実施した。当地区においては、小学生の継続的な活動拠点・居場所として有効な「コミュニティサロン」が存在し子どもの生活の中の重要な場所として機能している。この場を拠点として、当地区の小学校4-6年生の全員を対象にした放課後・休日の過ごし方調査を実施し分析を行った。また、小学校周辺地区において戸外での生活実態の観察調査を実施した。その結果をもととして、路上を遊び場にする「路地裏遊び場」を一日開設した。 この実践により、(1)子どもに関わることに限定されない多様な取り組みが行われている空間を基盤とすることの重要性、(2)地域における現実の子どもの行動の多くがプログラム化された活動にさかれている実態、(3)地域空間の中で子どもと大人の双方の働きかけの蓄積がある空間を対象とした実践の有効性を明らかにすることができた。また、次年度へ向けて、乳幼児と親子が集う場所の開設条件を整えることができ、経緯の整理を行った。この場所の有効性について平成19年度に引き続き実証のための調査を実施する予定である。
|