平成17年度、18年度に実施した子どもの生活空間形成計画についての社会実験とその分析・考察を踏まえ、平成19年度は追加的な調査と全体のまとめを行った。 (1)地域のプレーパークづくり活動を通じたコモンズの再生としては、初動期を経て、定例的なプレーパーク実施を基盤とした波及をはかる段階に入っており、安定した空間的資源として公園の活用とその従来の枠を若干越えた形での物的なストック拠点を得ることが起点となり、住宅団地内広場、街路利用などへと自由な遊びの場を広げていくプロセスが成立することを明らかにすることができた。 (2)子どもが主体となり地域の生活空間を改善する取り組みの拠点として、子どもを対象に限定しない「コミュニティサロン」の実践が有効であり、そこを拠点とした調査活動の実施、地域における課題の明確化、地域で活用可能な空間の発見、そして、潜在的な空間資源を一時的ではあるがコモンズとしての意味を高めさせる実験として路上を活用した「路地裏遊び場」の実現に至った。 (3)乳幼児と親子が集う場所の空間的条件をさぐるために、親子の集いの場の整備の実践についてプロセスを記録し、その過程で求められた条件を分析した。そこでは、特定のプログラムに制約されない自由な行為が成立する場であること、利用者が相互に利用条件を自律的に支える場であること、その空間的条件としての民家的空間(柔軟な境界領域、自然環境的空間要素とシェルター的空間を含めた一定の多様性を有する空間)が有効であること、を明らかにすることができた。
|