多くの地方都市で中心市街地の空洞化が進行している。既存マンションの足元の店舗も閉店・休業が多い。シャッター街、空き家群の中に新築の分譲マンションが建てられると市街地の再生を望む地域の人々は、これで活気が取り戻せるのではないかと淡い期待を持つ。しかし、期待を込められた新築マンションがたとえ完売しても、さして時間を置かずに低価格化し不良住宅化する懸念を抱かざるを得ない。一方目を郊外に転じると、市街化調整区域と隣接町村では官民が競って宅地造成と戸建て住宅建設に長く邁進してきた。大都市圏に比べて戸建ての敷地は広く価格も安い。住宅市場における分譲マンションの人気が低く、多数の住宅が賃貸住宅に転じている。20年経っても多くのマンションの修繕積立金は当初の低い金額に据え置いたままで大規模修繕を先送りしている。廃墟に等しいマンションも生まれた。群馬県では大都市圏より遅れて分譲マンション開発が進み、大都市圏より早く問題住宅化するが、個人資産の問題としてこれまで行政が積極的に対応したことはない。このような状況では健全な街づくりが困難である。そこで本研究は地方都市における分譲マンションが都市崩壊のキーワードとなるか、都市再生のキーワードとなるかを確認すべく実施した。願うべくは都市再生である。なお従来の分譲マンション研究の大半は大都市圏内で行われてきた。地方都市ではマンション戸数そのものが少ないだけでなくマンション研究者すら殆どいない。地方のマンション実態を明らかにすることはマンションと都市計画との関係を検証する機会となろう。群馬県における分譲マンションの状況について政府統計等の分析結果と現地確認等で得られた情報の分析結果を報告する。
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