まちづくり事業体(まちづくりトラスト)を「財政自立」から分析するとき、大きく住宅系とそれ以外の商工業系に分けて考える必要があり、ことに「住宅系で、いかに収入を確保できるか」は大きなテーマといえよう。 イギリスで住宅地経営を核に、財政自立を達成し、ハビタトの国際賞を得るなど、その高い実績が評価されている事例として、リバプールのエルドニアン・ビレッジがある。今年度は、このエルドニアン・ビレッジに注目し、全体はつぎの6章構成とし、その概要を記す。 リバプール2005年、ついに都市再生への離陸が始まったか 1970年代深刻な社会経済問題に直面していたリバプールが、いま再活性化しつつある現況を描く 2 社会的企業が居住地を自主管理する インナーエリア再生のエンジンは「社会的企業」という。この定義を紹介し、「第三の手法」と位置づける 3 エルドニアン・ビレッジを踏査する 2005年夏の現地調査を中心にまとめた 4 四半世紀の歴史をレビューする 1970年代の「スラム・クリアランス→郊外分散→コミュニティの破壊」という図式に反対した住民が協議会を結成し、リバプール市の自治体政治に巻き込まれる中で、いかにコミュニティ・ベースト住宅協会を中心に結束し、住宅地と関連複合施設の建設と経営、そして基本的な「財政自立]を達成したか、その歴史を分析。 5 エルドニアン事業体の経営組織としての特徴をまとめる 6 まとめ:市民セクターによる、ほかの居住地自主管理例と比較する
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