本年度は、以下の2箇所において現地調査を実施した:1)米国ニュージャージー州(西浦)、2)米国ワシントン州(平)。調査で収集した資料やヒアリング結果を基に、以下の3つの観点から分析を進めている。3つの観点とは、総合性、人口予測値、環境評価である。総合性とは、計画評価システムの全体的なフレームワークを検証することである。計画制度における位置付け、評価手法、評価項目、公共参画のしくみなど、計画評価システム全体の有効性を検証する。人口予測値では、計画策定における人口推計値の取り扱いについて検証するものである。成長管理は需要管理型の都市政策である。今後、日本は急激な人口減少化社会を迎えるわけてあり、その対策として社会のすべての面での厳格な需要予測、需要管理に基づく社会システムの運用が必要といわれている。都市計画についても、人口予測値をどのように推計し、計画に位置付け、評価するかが厳しく問われてくる。環境評価では、計画体系と環境評価システムとの連携を調査する。環境への影響評価を実施し、それを計画段階で取り込むことが理想であるが、現実は環境影響評価が後追い的になってきている。しかし近年では、戦略的環境アセスメント(Strategic Environmental Assessment : SEA)が導入されるようになり、計画段階から環境へのインパクトを緩和する目的で計画変更を伴う措置が講じられるしくみが広がりつつある。米国の州成長管理では、直接的にはSEAと称してはいないが、州によってはSEA的なしくみを既に導入しているところもある。従来の環境影響評価のあり方も含めて、環境評価と計画制度との関連を検証する。 17年度の成果については、18年度に開かれる学会での発表、査読付き論文集への投稿を行う。
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