研究概要 |
本年度は、人口予測値の観点から広域成長管理制度を検視した。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」(平成14年1月推計)によると、目本全体の人口は、平成18(2006)年に1億2,774万人でピークに達した後、長期の減少過程に入る。東京圏は最後まで人口が増加すると考えられるが、それでも、2010年から2015年の間にピークを迎えることが予測され、近い将来に人口増加から人口減少に転ずることが容易に予測できる。これまで、多くの市町村では人口増加が継続する前提で総合計画をはじめとして住宅マスタープランなどの各種計画を立案、実施している。しかし、現実には人口減少による中心市街地の衰退、空き家や放棄地の増加が目立ち始めている。このような状況に対して、広域レベルでの適切な人口予測に基づくバランスの取れた地域の成長管理計画が求められる。 事例としたワシントン州は、州機関であるOffice of Financial Management(OFM)が郡レベルの人口推計(20年)を行い、その値を郡が管轄内の白治体に配分するという仕組みをとっている。更に、州計画目標に整合する形で各白治体計画の策定が義務付けられており、州という広域レベルでバランスの取れた持続可能な成長をめざして計画体系が運用されている。調査では、運用から10年近くなる人口配分システムが、実際に地域成長管理という目標を達成したのかどうかの実態調査を行った。学術論文として投稿した。 また、オレゴン州、メリーランド州への調査を実施した。両州は、広城的成長管理政策を早い時期から導入してる州である。特に、メリーランド州はスマートグロース政策を早くから導入してきており、環境に配慮した持続可能な成長を目指してきている。両州については、州計画運用における課題と人口問題の取り扱いをヒアリング調査した。
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