研究概要 |
本研究では,広域レベルの成長管理体系における総合的な計画評価システムについて調査を実施した。成長管理とは,無秩序に広がる市街化をコントロールし,コンパクトなまちづくりをめざす都市政策である。1970年代に米国の自治体で導入され,現在では州計画や地域計画など広域レベルで成長管理計画が導入されてきている。本研究では,広域成長管理である州計画を対象として,広域レベルでの計画評価システムを調査した。本研究で取り上げる成長管理は,広域調整に基づく計画策定を実施してきている例であり,広く公共の利益を確保する計画策定および評価のしくみは我国の都市計画の対して貴重な示唆を与えるものと期待される。本年度は,事例対象州として,バーモント州に加えて,ニュージャージー州,ジョージア州や関係するその他の州を含めて調査を行った。環境への影響,公共サービス水準への影響,自然景観,歴史保全地域への影響等,幅広く環境評価を行い,広域レベルでの成長管理を実施してきている州を対象とした。調査では,計画制度と環境評価の連携がどのように運用されているのか,土地利用計画の実効性と財産権の問題をどのように解決しているのか,広域レベルの計画策定にかかわる合意形成の仕組みの課題は何か,などに関して実態調査を行った。その結果を,3本の論文にまとめた。本年度の成果としてまとめたのは,オレゴン州の土地利用計画に関する事例と,ニュージャージー州の広域計画における合意形成システムの評価に関するものである。ジョージア州やバーモント州については,継続研究として位置づけ,来年度中に論文としてまとめる計画である。
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