研究概要 |
1.都心部の中世期惣構の範囲内に限定して,住宅地図により木造住宅の街区に占める状態をチェックした.これをもとに現地にて街区の目視による観察調査を行ない,写真等での点検を行なって街区モデルの対象として2街区を選定した. 2.この街区について屋根伏図等を作成し建物の形状をくわしく把握した.その資料に基づき250分の1で街区と建物の現状模型を作成中である.街区の基本的な特徴は,核となる町家が現に存在し町家保存のいくつかの可能性を観察により把握できることである.この街区模型で変化のシミュレーション,モデル提案を行なう. 3.町家の間取りの歴史的展開過程の検討では,主として古文書,書籍としてまとめられた中世,近世初期の住宅史に関する文献,近年の実測資料などをもとに間取りの歴史的経過の概要を把握した.その検討は,庭と建屋の一体性に注目し,作庭の伝統についても資料および現地観察にもとづき一定の考察を加えた. 4.歴史的都心地区を世界文化遺産に登録し保全の対策を進めているモレリア(メキシコ)の調査を実施した.商業地域でもあるモレリア都心地区では,路地の中の住宅再生,街区内住宅の低層による建替えなどが行なわれていることや,歴史的な建造物を街区のシンボル的な空間として活用するなどの事例が見られた.市の担当官により資料の提供を受けた. 5.町家の所有者,店舗経営者の町家保存,再生利用に関するアンケート調査を100件について次年に先行して実施した.店舗への改築などの程度には一定の範囲があり,なかには構造材や重要な部位の変更,撤去などもみられ,変化が内部で進んでいる実態が明らかになった.
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