本研究は、これまで主に平面的な情報に基づいて分析が行われていた書院造に関して、断面的な情報や室内照度などを用いて再検討を行おうとするもので、平成17年度から平成20年度にかけての4ケ年で実施する。初年度である平成17年度の研究実績は以下の通り。 (1)平成17年度調査計画の策定 事前に行っていた予備調査内容及びそれに基づく分析を再検討し、調査事業全体及び平成17年度の調査対象候補を決定し(京都府内に所在する36棟)、文化財修理工事報告書等を参照して事前に調査計画を具体的に策定した。 (2)機器作成及び調整 短時間(1室10分以内程度)に室内照度を測定するために、同時に4点(床面より100・800・1500・2200mmの高さ)の照度測定を行い、かつそのデータを瞬時に転送記録するための機器を作成した。 (3)現地調査 調査対象候補とした36棟のうち承諾を得た24棟に関して平成17年8月23日〜30日の日程で現地調査を実施し、a)書院造遺構の各部寸法計測(修理工事報告書に記載されていない分)・b)室内空間の照度計測・c)障壁画など全柱間装置の写真撮影等、を行った。 (4)図面の作成 現地調査の結果を用いて、a)照度分布状況を示す図の作成・b)障壁画などの柱間装置の状況がわかる展開図の作成、を行った。
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