研究課題/領域番号 |
17560582
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
谷本 久典 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (70222122)
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研究分担者 |
水林 博 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (40114136)
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キーワード | ポーラス材料 / ナノ材料 / 選択腐食 / 電気抵抗 / 結晶粒界 / 内部表面積 / ガス吸着 |
研究概要 |
新機能性金属材料の創製を目指し、AgAu合金のHNO_3溶液中Ag選択腐食により数10nm径の開口型チャンネルを有するナノポーラス(np-)Auを作製した。前年度までに、腐食条件や腐食後の圧縮加工によりチャンネルサイズや面密度の制御可能なことに加え、大気中と真空中で電気抵抗率が異なることを見出した。本年度は、特にナノチャンネル構造のサイズによるnp-Auの電気抵抗率変化及び各種ガスに曝したときの真空中からの電気抵抗率変化を調べた。BET法にて評価した内部表面積(BET表面積)のnp-Auの真空中での電気抵抗率はBET表面積2.6m^2/gのもので約7.1μΩcmと通常のAuの値の約3倍であるが、30m^2/gのものでは約790μΩcmと非常に高い。このBET表面積30m^2/gのnp-Auでの繊維状Au部の平均径は10nm程度であり、真空蒸着法で作製された線幅10nmのAu線では13μΩcmの値が報告されている。ポーラス化による幾何学的効果で電気抵抗は稠密な場合に比べて約5倍になることを考えても、この非常に高い電気抵抗率は単なる表面・界面散乱効果では説明できない。また、いずれのnp-Auにおいても真空中に比べて大気圧中では約0.7%の電気抵抗率の減少が見られた。特にBET表面積が大きなnp-Auでは暴露するガス種によって抵抗変化の様子が大きく異なり、HeやN_2中の電機抵抗率は真空中の値とほぼ同じで、また乾燥させた空気中では電気抵抗率の減少が半分以下になった。これらの現象は、ウエット状態で作製された金属ナノ構造の表面・界面は特有な状態にあり、ドライ状態で作製されたよりも何らかの理由で高電気抵抗となっており、ある種のガス(恐らく空気中の水分)吸着・放出により可逆的に伝導性向上・低下を生じている可能性がある。
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