研究課題
基盤研究(C)
nmサイズの開口型チャンネルを含むナノポーラス金属膜は、著しく増大した内部表面積とナノ構造化の相乗効果による特異物性発現の可能性から、新機能材料への応用が期待されている。チャンネル形態を制御したナノポーラス金属の作製とともにその物性変化について検証する目的で、ガスジェット流によりAu超微粒子を堆積固化するガスデポジション法及びAgAu合金からAgのみを優先溶出させる選択腐食法を用いてAuナノポーラス膜を作製し、その組織や力学特性、さらにはガス透過性や電気伝導性を調べた。また、作製後の圧縮加工によるチャンネル形態の制御についても検討した。表面観察やガス透過性評価から、作製手法及び条件により面積密度が数〜20%で数〜60nm径の開口型チャンネルを有するナノポーラスAuが作製可能であること、そして作製後の圧縮加工によってチャンネルの低面積密度化・細径化が制御して行えることが分かった。力学特性評価からは、圧縮加工によりほぼ稠密な状態となってもその界面(粒界)状態は高密度Auナノ結晶とは異なっていることが示唆された。ナノポーラスAuの室温での電気抵抗率は、チャンネルの面積密度が約20%で平均径約40nmのものでバルクAuの約20倍、平均径10nmと微細なものでは約800倍ときわめて高い値であった。また、真空中から大気中へと準静的に測定雰囲気を変えた場合にナノポーラスAuの電気抵抗率は約0.1%の減少を示したが、再び真空状態とすると元の値に回復したが、水分除去したガスを用いた場合にこの変化は明瞭に見られなかった。水分子の物理吸着によりナノポーラスAuに特有な界面で伝導性が向上していることが考えられる。これら研究結果はナノポーラス金属の新機能性材料としての高いポテンシャルを示している。
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