研究概要 |
我々は複雑構造物質料の中で比較的原子数が少ない系として単位胞に52個の原子を含むCu_5Zn_8及びCUgAl_4ガンマ相を選び、第一原理バンド計算(Full-potential Linearized Augmented Plane Wave略してFLAPW)法を実行し、このような複雑な構造が特定の電子濃度e/a=21/13で安定化する機構を明らかにして来た。 本プロジェクトでは、平成17年度に行ったTM_2Zn_<11>(TM=Ni, Pd, Co, Fe)ガンマ相の研究に続き、平成18年度には、Al_8V_5ガンマ相の研究を本格的に行った。Al_8V_5ガンマ相合金は1670℃という高温で包晶反応を経てライン化合物として生成するため、その単相化は著しく困難を極めた。最終的に液体急冷リボンを熱処理することで単相化に成功した。SPring-8放射光施設のBLO2B2ラインでその粉未試料の回折スペクトルを測定し、Rietveld解析で52個の原子位置を決定した。それを用いてFLAPW電子構造計算を行い、我々が開発したFLAPW-Fourier法でこの複雑構造の安定化機構を研究した。その結果、V-3d states mediatedresonance効果が安定化の要因であると結論した。その成果は、Physical Review Bに報告した。 また、空気中では酸化してしまうAg_<36>Li_<64>ガンマ相合金をグローブボックス内で合成し、SPring-8におけるBLO2B2ラインにおいてその回折スペクトルを測定し、52個の原子位置を決定した。その成果はPhysicalReview Bに投稿した。
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