| 研究概要 |
平成17年度の研究(初年度)において、Co-Al-O強磁性グラニュラー膜中に熱励起されたスピン波をブリルアン散乱により観測し、スピン波振動数の磁場依存性の解析から交換磁場を含む磁気定数を決定した。この研究において、試料の電気抵抗率ρと交換磁場H_<ex>の間に逆二乗則ρ∝H_<ex>^<-2>が成立することを見出した。Co-Al-O強磁性膜ではCo微粒子間の電子移動が電気伝導と強磁性交換相互作用を同時に担っていることを示している。このような実験結果はこれまで全く報告されておらず、グラニュラー磁性材料の開発において極めて重要な成果である。即ち、グラニュラー磁性膜においても強磁性領域では微粒子間に交換相互作用が働いており、直接測定が極めて困難な微粒子間交換磁場の強さを測定が比較的簡単な電気抵抗測定から定量的に評価する道が開かれた。
逆二乗則は金属-絶縁体グラニュラー強磁性膜に固有の電気・磁気特性と考えられることから、Co系グラニュラー材料と並んで重要な材料であるFe系グラニュラー膜についても成立することが期待される。平成18年度はFe-Al-Oグラニュラー強磁性膜について系統的なスピン波ブリルアン散乱測定を行い、逆二乗則が成立していることを確認した。Co-Al-OとFe-Al-Oに対する逆二乗則は具体的に、
ρ_<Co>=22.1×H_<ex>^<-2>(μΩ・cm)
ρ_<Fe>=30.3×H_<ex>^<-2>(μΩ・cm)
と表わされる。ただし、交換磁場はkOe単位である。次の課題として、金属-絶縁体グラニュラー強磁性膜における誘導磁気異方性の機構解明と制御に関する研究を開始している。以上の研究成果は、国際磁性会議ICM2006(京都,8月)、2006年応用磁気学会(松江,9月)で発表した。代表者と共同研究者は研究の更なる発展を目指して有志の研究会を組織し、2006年11月に第一回目の勉強会を電気磁気材料研究所(仙台)で開催した。
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