研究概要 |
(1)水素顕微鏡による水素のMg基合金への吸着・吸蔵状態の観察 Mg-10%Ni,及びMg-30%Ni合金表面に吸着・吸蔵したH原子の2次元分布状態を水素顕微鏡で観察した,H原子は粒状に析出したMg2Ni相にのみ吸着し,Mg相やMg/Mg_2Ni共晶組織には吸着しないことを明らかにした。 (2)ナノ構造Mg-Ni,及びMg-Ni-La合金の水素吸蔵・放出特性(PCT)の測定 Mg-10%Ni,及びMg-10%Ni-5%La合金を液体急冷法でアモルファス化し,それを結晶化して作製したナノ構造合金について,そのPCT特性を測定して,通常の鋳造合金の特性と比較した。ナノ構造合金は鋳造合金に比べ活性化が容易で,また,水平でヒステレシスの少ないプラトー特性をもち,吸蔵・放出速度も極めて速い。特にLaを含む3元系合金は優れた水素吸蔵・放出特性を示し,実用化できる見通しを得た。 (3)ナノ構造Mg-Ni-La合金の水素熱放出スペクトル(TDS)の測定 本科研費でTDS装置を作製し,ナノ構造Mg-Ni-La合金の測定を行った。TDSスペクトルは一般に4本の放出ピーク(a-d)からなり,合金中の水素の存在状態を反映していることが分かった。ピークa,bはMg_2NiH_4,MgH_2の分解,ピークcはナノ結晶粒界に偏析した水素の放出,ピークdはLaH_2の分解によると結論し,合金中の水素の放出機構について考察した。'
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