酸化チタンのルチル単結晶を水中においてパルスレーザーアブレーションにより酸化チタン微粒子が生成するプロセスの解析を行った。レーザー強度、スポットサイズ、溶液のpH、温度を変化させ、生成するTiイオン量を直接計測し、微粒子の収量を見積もることができた。ルチル型単結晶がレーザーにより水中でプルームを生成する。この発光をPL測定系により解析したが分光データを得ることができなかった。この理由について最近の研究結果を元に考察し、プルームによる自己吸収効果で発光スペクトルが得られないものと判断した。得られた酸化チタン微粒子を薄膜にして物性、反応性を評価した。STMの測定より4-50nmの大きさの微粒子であることがわかった。また、XRDピークの半値幅より約10nmの大きさの結晶径であると見積もられた。薄膜のPLスペクトルから、電子-正孔再結合について考察し、表面での酸化還元反応活性についての序列について説明を行った。0.3-0.6eVのバンドギャップの増加が測定され、明瞭な量子サイズ効果が検出された。この薄膜を用いて波長400mm以上の可視光を用いて有機物分解反応を行った。バンドギャップの増加にもかかわらず、反応が進行した。この理由として、バンドギャップ間に不純物準位が生成していることが考えられた。 次に、水中に単結晶Si基板を置いてレーザーアプレーションによりSi微粒子を作製し、光物性について検討した。溶液の色が赤、茶に色づくことからSi微粒子が生成したと判断した。しかし、薄膜にした状態では着色しているにもかかわらず、XPSより表面は酸化物となったおり、PLスペクトルもガラスの格子欠陥からの発光のみが観測された。微粒子内部にSiが存在するので、可視光発光させるためには工夫が必要であると考察した。
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