酸化チタン単結晶スライスを水中に置きパルスレーザーを照射して得られるチタンイオン量を誘導プラズマ発光質量分析法により計測した。生成するチタンイオン量を制御する因子として、レーザーフルエンス、溶液の厚さ、溶液のpH、酸の種類、溶液温度について定量的に検討し、チタンイオン収量を支配する因子は主に前者の2因子であることを明らかにし、1レーザーショット当たりの収量をレーザーフルエンス、溶液の厚さそれぞれについて定式化することができた。得られる微粒子はアナターゼ酸化チタンであり、薄膜化した微粒子について、STMによる微粒子サイズの検討と基板表面上での挙動、拡散スペクトルによるバンドギャップ評価を行った。サイズで4nmほどの微細微粒子が生成していること、微小電流により容易に表面上を拡散し基板のステップなど不均一面に多く堆積すること、3.87-4.13eVという大きなバンドギャップ値をもつことがわかった。従来観測されてきたバンドギャップ値に比べ非常に大きな値を示し、極めて特徴的な酸化チタン微粒子が生成し明瞭な量子サイズ効果が観測されることが特徴と判明した。ここで得られた微粒子を用いて有機色素メチレンブイルーの分解反応を行った。紫外光で活性をもつことはもちろん、400nm以上の可視光にも応答し光分解反応が進行した。作製した酸化チタン微粒子のバンドギャップ値増加は応答波長のブルーシフトを意味し、従来紫外光にしか応答しない酸化チタンの場合不適当である。しかし、ここで得られる微粒子はNなど多くの不純物イオンを作製中に取り込み、バンドギャップ間にそれらの不純物準位ができ、可視光に応答することが考察された。微粒子薄膜のPL測定を行い、光吸収特性についても検討を行った。
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