研究概要 |
試料の組成は,Ti_<1-2X>Nb_XAl_XO_2で表し,X=0〜0.25の組成範囲で水熱合成を試みた.Xの値がX=0.20よりも低い組成では,水熱処理により得られた生成物の結晶相はいずれもアナターゼ型酸化チタンであった.固体析出物の組成をICPにより定量分析した結果,アナターゼ型酸化チタン結晶と同定されたX=0.20以下の組成の固体析出物の化学組成は出発組成とほぼ一致していた.NbとAl含有量の増大(Xの値の増大)とともにアナターゼ型結晶の格子定数α_0,C_0は徐々に変化したが,α_0が大きくなる傾向を示した.NbとAlを固溶したナノサイズのアナターゼ型結晶粒子が,オキシ硫酸チタン,塩化ニオブ,硝酸アルミニウムの混合溶液から180℃の水熱条件下で直接的に合成された.生成したアナターゼ型結晶の結晶子径はXの値の変化(NbとAl含有量の変化)にしたがい増大する傾向を示した. 合成した種々の組成のアナターゼ型酸化チタン微粒子をメチレンブルー水溶液中に分散させ,暗室下で24時間撹拌しながら保持した後,UVを照射し,メチレンブルーの濃度変化を測定し,光触媒能を評価した.24時間暗室保持後のメチレンブルー濃度(メチレンブルー吸着量)はX=0〜0.15の試料では大きく変化しないが,X=0.20の試料ではメチレンブルー吸着量が増大した.得られたNbとAlを固溶したアナターゼ型酸化チタンは,純粋なアナターゼ型酸化チタンと比較しUV照射後のメチレンブルー濃度の低下も著しく,良好な光触媒能を示した.合成したNbとAl固溶量の異なるアナターゼ型酸化チタンの相安定性および加熱によるアナターゼからルチル型結晶への相転移温度を調べた.純粋なアナターゼ型酸化チタンと比較すると,NbとAlの固溶量により,相転移開始温度は高温側へシフトし,逆に相転移終了温度は低温側へシフトし,狭い温度域で相転移が完了した.
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