平成17年度の目的として炭素網面の積層が発達しているメソカーボンマイクロビーズの粉末から膨張メソカーボンマイクロビーズを調製することと板状成形物を作製して構造解析や比表面積・細孔分布等を測定することを掲げた。 これまでにわかったことは次のことである。 ・硫酸と硝酸の4:1の混酸で層間化合物を作製して、これを1000℃まで急速に加熱したところアコーディオン状の膨張メソカーボンマイクロビーズが得られた。 ・炭素網面間の広がりと乱れが観察され、膨張化処理の効果を知ることができた。 ・膨張化処理によるメソカーボンマイクロビーズの細孔分布を測定したところ、5〜10nmにメソ孔の分布が認められ、エッジ部の露出が増加したことがわかった。 具体的な操作について以下に記す。 メソカーボンマイクロビーズに硫酸と硝酸の4:1の混酸を使用して層間化合物を作製したのちに1000℃まで急速に加熱して60分間放置し膨張メソカーボンマイクロビーズを作製した。得られた試料はアコーディオン状に炭素網面間距離が広がっていた。結晶性については、X線回折測定を行ったところ、d002回折線が未処理試料の26.5°から低角度側にシフトし、さらに回折線の半値幅は大きくなった。このことから面間距離の広がりと結晶性の乱れ構造が確認できた。炭素網面のエッジ部の増加を見積もるために水銀ポロシメーターで表面積を測定したところ、膨張化処理によって、5〜10nmと1〜10μmにおいて新しい細孔分布が測定された。すなわち、メソ孔(2〜50nm)の生成が認められ、エッジ部の露出が増加したことがわかった。 板状成形物は、膨張したメソカーボンマイクロビーズとコールタールピッチから作製できた。以上のことから炭素網面のエッジを利用した電気二重層キャパシタ用電極の作製が可能となった。
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