研究課題
基盤研究(C)
平成17年度〜平成18年度の2年間において次のことが明らかになった。平成17年度には、炭素網面の積層が発達しているメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)から膨張MCMBを調製することと板状成形物を作製して構造解析や比表面積・細孔分布等を測定することを目的とした。その結果、以下の成果が得られた。(1)硫酸と硝酸の4:1の混酸から調製した層間化合物を1000℃で急速加熱したところアコーディオン状の膨張MCMBが得られた。(2)膨張MCMBのX線回折測定から炭素網面間の広がりと乱れが観察された。(3)膨張化処理によるMCMBの細孔分布を測定したところ、5〜10nmにメソ孔の分布が認められ、膨張によるエッジ部の露出が増加したことがわかった。平成18年度には、炭素集電極と膨張MCMBとの内部抵抗を軽減させることを工夫し、静電容量を測定して電気二重層キャパシタとしての評価を行うことを目的とした。その結果、以下の成果が得られた。(1)2000℃ならびに3000℃で黒鉛化処理したMCMBを使用したところ、膨張処理はよりスムーズの行うことができた。(2)窒素ガス吸着による膨張化処理前後の比表面積は、2000℃処理したMCMBで約0.8m^2/gから約70m^2/gとなり非常に大きくなった。しかし、膨張化処理後の試料の等温吸着曲線はI型でミクロ孔が支配的な分布をしていることがわかった。(2)電気化学測定では、熱硬化性樹脂を用いて膨張MCMBの成形板を作製したものと一般に行われているPTFE、カーボンブラックを使用して作製した試料とで比較した。その結果、膨張MCMBの成形板の方がどの電流密度で測定しても5倍以上の大きな値となり、接触抵抗を抑えることができた。(3)膨張MCMBの成形板では、膨張したラメラを熱硬化性樹脂由来の炭素が覆っていることがわかった。電気化学酸化を行うといずれの電流密度で測定しても約50F/gとなった。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (8件)
繊維学会誌 62巻(No.8)
ページ: 175-179
炭素 2006巻(No.223)
ページ: 206-214
繊維学会誌 61巻(No.10)
ページ: 276-281
ページ: 249-250
SEN'I GAKKAISHI vol.62, No.8
TANSO vol.2006, No.223
SEN'I GAKKAISHI vol.61, No.10