研究概要 |
熱定数の温度による変化を任意に設定することにより熱機能性材料を創出することを目的に平成17年度においては研究計画に沿い活動を行った。高温域での使用に耐えるエンジニアプラスチックとして安価かつ入手性に優れているフェノール樹脂を選定し適切な有機溶媒による希釈条件下にてセラミックス粒子を混入・硬化させて熱機能性材料サンプルを作成した。本研究では粒子を分散させる事ではなく一様に凝集させることが必要である点に困難があったが、医薬用遠心分離機を使用して1,500G〜1,800Gもの高G環境下に原料を保持することで解決を見た。さらに、樹脂硬化プロセスの際にOFF-GASによる空孔形成が問題となったが低温乾燥と高温硬化プロセスを様々に設定した硬化テストを繰り返すことにより空孔が形成されることのない硬化パターンを見出すことに成功した。作成された素材は切断・研磨により熱定数サンプルへと加工され熱定数測定に供された。その際、独立行政法人宇宙航空研究開発機構の既存設備であるレーザーフラッシュ法熱定数測定装置を使用し熱拡散率と比熱容量を測定した上で、別に計測しておいた質量と体積から算出したサンプル密度を用いて熱伝導率を導いた。その結果、熱の3定数である(1)熱拡散率(2)比熱容量(3)熱伝導率についてデータが得られた。統計的な解析が必要であるためデータの蓄積を続けているが、現段階にて温度と熱定数の相関を良好に再現することに成功しており、当初の年度計画をほぼ達成した。また、本研究で構築した熱・統計解析手法を応用したセラミックス繊維やパネルの特性解析を実施した。
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