研究課題/領域番号 |
17560613
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
波多野 雄治 富山大学, 水素同位体科学研究センター, 教授 (80218487)
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研究分担者 |
原 正憲 富山大学, 水素同位体科学研究センター, 助手 (00334714)
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キーワード | 水素 / セラミックス / 炭化物 / 窒化物 / チタン / ジルコニウム / 溶解度 / 拡散係数 |
研究概要 |
4族および5族金属の炭化物は耐摩耗性や熱力学的安定性に優れ、新たな水素機能性材料として期待される。本研究の目的は、これら炭化物と水素の相互作用を定量的に理解し、機能性材料としての利用指針を示すために必要な拡散係数や溶解度などのデータベースを構築することである。本年度は、化学量論比に近い組成を有するTiCおよびZrCについて、水素の水素溶解度ならびに拡散係数を873Kで測定した。 試料には高純度化学研究所(株)より購入したTiC粉末(公称純度99%、粒径約4μm、格子定数0.4324nm)およびZrC粉末(公称純度95%、粒径約1μm、格子定数0.4696nm)を用いた。これらの試料を真空装置内に導入し、10^<-4>Pa程度の真空中で1373Kに加熱することにより活性化した。その後、試料温度873K、水素圧力1Pa〜47kPaにおいて水素吸収実験を行った。また、試料を一旦室温に降温したのち装置内に残留した水素を排気し、真空中で再び加熱することにより水素放出特性を調べた。 いずれの試料も、上記手順により可逆的に水素を吸収・放出した。873Kにおける吸収水素濃度は1Pa付近で約0.1mol%、47kPa付近で約1mo%であった。これらの値は純Tiや純Zr中の水素溶解度よりは小さいものの、一般的な水素吸蔵合金と比較すると、むしろ大きな値である。金属の場合には吸収水素濃度が水素圧の1/2乗に比例して増大するジーベルツ則が成り立つが、TiCおよびZrCの場合には圧力依存性は小さく、吸収水素濃度は見かけ上水素圧の1/4乗〜1/5乗に比例していた。また、吸収曲線の解析より拡散係数を見積もったところ、10^<-16>m^2s^<-1>程度の値が得られ、水素の拡散速度は金属に比べかなり小さいことが明らかとなった。
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