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2006 年度 実績報告書

色素-金属イオン複合化による多孔質電極への吸着促進と色素増感太陽電池の高効率化

研究課題

研究課題/領域番号 17560615
研究機関静岡大学

研究代表者

昆野 昭則  静岡大学, 工学部, 助教授 (50205572)

キーワード色素増感太陽電池 / ナノ材料 / 電荷再結合抑制 / 酸化スズ / 酢酸亜鉛 / ナノ薄膜コーティング
研究概要

我々は酸化スズの多孔質電極の色素吸着の際に、色素溶液に酢酸亜鉛を添加するという簡便な方法で,酸化スズ/酸化亜鉛複合電極と類似の光電変換効率向上効果が得られることを見出し報告している。本研究では、この色素溶液への酢酸亜鉛添加効果および種々の方法による酸化スズ電極の酢酸亜鉛溶液処理効果について調査、検討した。
まず、色素溶液への酢酸亜鉛添加量を変えて作製した色素増感太陽電池について調べた。その結果、調査した3種類の色素(EosinY,NKX-2677,N3)すべてにおいて、色素溶液に酢酸亜鉛を添加することで、短絡電流値が増加していることがわかった。これは、酢酸亜鉛が色素吸着を促進したためであり、事実酸化スズのみでは、ほとんど吸着しなかった色素でも、酢酸亜鉛を添加することで色素吸着量の大幅な増大が認められた。一方、酢酸亜鉛の添加量が色素に対して過剰になってくると、短絡電流が徐々に減少する傾向が見られた。これは、電極表面に酢酸亜鉛が過剰に吸着してしまい、色素吸着量が減少することおよび、色素が酢酸亜鉛層を介して酸化スズに吸着するために、励起色素から酸化スズ電極への電子注入速度が低下したためであると考えられる。開放電圧値については、酸化亜鉛添加量の増加とともに向上する傾向が認められた。以上、色素溶液に酢酸亜鉛を添加した効果は、酢酸亜鉛が酸化スズ電極表面に吸着することで生起すると考えられる。そこで、酢酸亜鉛を色素溶液に添加するのではなく、酸化スズ電極を色素吸着工程の前後で酢酸亜鉛溶液に浸漬させることで、酸化スズ表面に酢酸亜鉛が吸着する効果を調べた。1)色素吸着工程の前に浸漬する前処理、2)色素溶液に添加する同時処理、3)色素吸着後に浸漬する後処理の3通りの方法で酢酸亜鉛処理を行った。その結果、未処理の酸化スズ電極に比べて、前処理と同時処理において、短絡電流値、開放電圧値ともに大幅に向上することがわかった。このことから、色素が酢酸亜鉛を介して酸化スズ電極表面に吸着することが、強く示唆される。また、前処理、同時処理、後処理のいずれの場合にも、開放電圧値が向上した。とくに、後処理の場合、酢酸亜鉛による色素吸着促進効果がないために色素吸着量が少ないために短絡電流値が低かったにもかかわらず、開放電圧が向上していることは注目される。これは、酸化スズ表面に吸着した酢酸亜鉛により、酸化スズ/色素/電解液界面における電荷再結合が抑制されたためではないかと考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Stability of the Sn0_2/MgO dye-sensitized photoelectrochemical solar cell2007

    • 著者名/発表者名
      M.K.I.Senevirathna
    • 雑誌名

      Sol. Ener. Mater. Sol. Cells 91・6

      ページ: 544-547

  • [雑誌論文] Large area dye-sensitized solar cells : material aspects of fabrication2006

    • 著者名/発表者名
      G.R.A.Kumara
    • 雑誌名

      Prog. Photovol. 14・7

      ページ: 643-651

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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