本年度は(1)セラミックス接合を行うための接合装置の組み上げ、立ち上げ及び実際にその装置を用いた接合体の試作と、(2)これらの作成された試料の接合界面構造解析のための試料作成法の確立を目指した。まず、接合装置については、固定した台上に、上部より加圧し絶縁体を介した電極を試料に直接押しあてる装置を組み上げた。本装置により炭化ケイ素セラミックスに30A程度の直流電流を流したところ、わずか1秒以下の通電で2300℃以上の発熱が起こることがわかった。また、この発熱は電流を上げる時間に依存し、時間が短いほど高い到達温度を示した。この装置を用いて実際に炭化ケイ素/Ag-Cu-Ti合金、炭化ケイ素/Alの接合を行ったところ、良好な接合体を得ることができた。次にこれらの接合体をTEMで断面組織観察するための薄片化加工を行った。従来の機械研磨及びイオン研磨を併用する方法では、機械研磨の条件によっては接合界面に損傷が導入されたが、最終厚み及び研磨方法を最適化することにより、観察に耐えうる薄片試料が作成できた。この試料を用いたTEM観察から、炭化ケイ素/Ag-Cu-Ti合金界面では、接合条件により反応相厚さを制御することが可能であり、特定条件下では反応相が存在しない界面が生成する事が判明した。また、炭化ケイ素/Al系では界面が炭化ケイ素の稠密面に平行になっている場合が観察され、その界面には、Al_4C_3の反応相とアモルファス層、Alが存在する場合があることがわかった。特に炭化ケイ素とAlの間には特定の結晶学的方位関係が見られた。
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