本年度は昨年度組み上げた装置を用いて実際に接合体を作成し、界面を高分解電子顕微鏡観察することで、接合条件と界面の構造の関係を明らかにした。また、高分解能電子顕微鏡内ぬれの直接その場観察実験の解析を通じて、格子整合界面生成に関する基礎的な知見を積み上げた。 まず、炭化ケイ素/Ag-Cu-Ti合金界面では、特定条件下で反応相が存在しない界面が生成する事が判明した。これは接合温度が高温になればなるほど、反応相が厚く生成するが、装置の特性上、高温を得るためには接合時間を短くしなければならず、反応相を得るための熱量が減少する。結果的に特定の昇電流時間で反応相がなくなることになることがわかった。また、炭化ケイ素/Al系の接合では、界面が炭化ケイ素の稠密面に平行になっている場合が観察され、その界面には、Al_4C_3の反応相とアモルファス層、Alが存在する場合があることがわかった。特に炭化ケイ素とAlの間には特定の結晶学的方位関係が見られた。 この他、炭化ケイ素/炭化ケイ素の接合も可能であった。しかし界面には炭化ケイ素中に含まれるFeによると考えられるFe-Si系化合物が生成しており、その反応相の厚さは熱量に依存していた。また、SiCと高融点金属のWの接合では、界面には反応相の形成がない直接接合が可能であった。 これに対して、炭化ケイ素とAg-Cu-Ti溶融合金のぬれの直接観察では、種々の反応相生成機構が観察された。生成した反応相TiCの形態に特定の構造が観察されない場合でも、反応相厚さ1nm程度から、結晶学的方位関係が観察された。これに対してlayer by layer成長の場合、SiC表面の方位に従って、2種類のTiCの成長機構が観察あることがわかった。
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