本研究では、セラミックス接合を行うための接合装置の組み上げ、立ち上げと、実際にその装置を用いて作成された試料の接合界面構造を高分解電子顕微鏡観察することで、接合条件と界面の構造の関係を明らかにした。さらにセラミックス上の溶融合金の挙動の原子レベル観察、解析を通じて、格子整合界面生成に関する基礎的な知見を積み上げた。 接合装置については、固定した台上に、上部より絶縁体を介した電極を試料に直接押しあて通電する装置を組み上げた。本装置により炭化ケイ素セラミックスに30A程度の直流電流を流したところ、わずか1秒以下の通電で2300℃以上の発熱が起こることがわかった。また、この発熱は電流を上げる時間に依存し、時間が短いほど高い到達温度を示した。この装置の特性をうまく利用すると、炭化ケイ素/Ag-Cu-Ti合金の接合の場合、特定条件下で界面において脆い反応相を減少させることができた。これに対して、炭化ケイ素/Al系の接合では、界面が炭化ケイ素の稠密面に平行になっている場合が観察され、その界面には、Al_4C_3の反応相とアモルファス層、Alが存在する場合があることがわかった。特に炭化ケイ素とAlの間には特定の結晶学的方位関係が見られた。 また、炭化ケイ素とAg-Cu-Ti溶融合金のぬれの直接観察では、種々の反応相生成機構が観察された。生成した反応相TiCの形態に特定の構造が観察されない場合でも、反応相厚さ1nm程度から、結晶学的方位関係が観察された。これに対してlayer by layer成長の場合、SiC表面の方位に従って、2種類のTiCの成長機構が観察あることがわかった。
|