研究課題
基盤研究(C)
本研究は、金属水素透過膜の水素脆化in-situ測定法を確立して、金属膜中の固溶水素が及ぼす機械的性質への影響を明らかにし、水素差圧に耐え得る新しい金属膜の設計指針の提案を目指したものである。平成17年度は「金属水素透過膜の水素脆化in-situ測定を行うための小型パンチ(SP)試験治具を備えた実験装置を設計・製作する」ことを目標とし、また、平成18年度は「固溶水素濃度と膜強度との関係、水素や水素化物の熱力学的性質が機械的特性に及ぼす影響を明らかにし、水素透過性能と強度を併せ持つ金属膜の設計指針を提案する」ことを目標として研究を展開した。その結果、Sievert's法によるPCT曲線上で固溶水素濃度と膜強度評価との関連づけを行い、従来の水素雰囲気下における強度特性評価とは異なった視点からの、固溶水素濃度に依存したNbの脆化挙動の変化を明らかにした。加えて、水素の放出にともなう約10%の格子収縮が、純ニオブ水素透過膜の変形および破壊を引き起こす原因となっていることや、in-situスモールパンチ試験装置を用いて、水素透過膜の水素脆性を定量的に評価する方法を確立した。さらに次のような新たな知見も得られた。純Nbは実用水素圧力条件下では多量の水素を固溶して激しく脆化するが、固溶水素濃度を低減させることにより耐水素脆性が改善出来る。また、膜の両側で高い水素濃度差ΔCが得られるように合金設計を行えば、高い水素透過能と耐水素脆性を兼ね備えたNb系水素透過膜合金が得られる。例えば、Nb-Pd合金について、固溶水素量と耐水素脆性に及ぼすPdの添加効果を調べた結果、Pd量の増加に伴い固溶水素量が減少し、さらに、耐水素脆性の改善に寄与することが分かった。すなわち、水素透過性能と強度を併せ持つ金属膜の設計指針の提案に向けた足掛かりとなる結果が得られた。
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日本金属学会2007年春期(第140回)大会講演概要(56)
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J. Alloys and Compounds (in press)
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大分工業高等専門学校紀要 第43号
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Collected Abstracts of the 2006 Autumn Meeting of The Japan Institute of Metals(in Japanese) (82)
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Memoirs of Oita National College of Technology(in Japanese) Vol.43
大分工業高等専門学校紀要 第42号
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