研究課題
本研究は、炭化ケイ素セラミック(SiC)薄膜に、ニッケル、白金等の水素分解触媒として用いられる金属を、濃度勾配をつけてイオン注入することで、原子状水素の発生やSiC薄膜内部への水素拡散の機能を有するイオン注入層を系統的に作製すること、及びSiC薄膜とイオン注入層との界面接着状態と水素分離能との関連性を明らかにすることを目的とする。本年度は、ポリマー前駆体法及びパルスレーザー蒸着法によりSiC薄膜の形成を試みた。ポリマー前駆体法では、シクロヘキサンに溶かしたケイ素高分子(ポリカルボシラン:PCS)を多孔質アルミナ基板30x30mmにディッピングにより成膜し、-20℃、空気中で2MeVの電子線を2MGy照射することで架橋した。これを不活性ガス中800℃で焼成することによりSiCセラミックスへ転換した。セラミック化時の収縮に伴うクラックや、多孔質基材の起伏によるピンホール等を抑制するため、0.5μm以下の厚さで3〜5回コーティングを繰り返すことで、欠陥の無いSiC薄膜を形成することができた。また、パルスレーザー蒸着法によるSiC膜の作製では、1パルスあたり150mJのエキシマレーザー(波長:248nm)を2mm×3mm程度の集光し、繰返し周波数10HzでSiCターゲットの照射し、真空中で基板温度500℃を保持したアルミナ及び石英基板上に成膜を行った。ラザフォード後方散乱法およびX線回折法により、SiC膜の構造評価を行った結果、SiCの組成で非晶質状のSiC膜が形成していることがわかった。次年度は、これらのSiC薄膜にイオン注入を行い、ガス透過性との関連を評価する予定である。
すべて 2006
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Proceedings of 6th Pacific Rim Conference on Ceramic and Glass Technology-PacRim6, September 2005, Maui
Proceedings of The 30th International Conference on Advanced Ceramics and Composites, January 2006, Florida