研究概要 |
良好な超塑性特性を有する超微細結晶マグネシウム合金を創製するための最適な押出し・ECAP一体型強ひずみ加工条件を確立し、得られた形材の超塑性特性と超塑性変形に伴うミクロ組織の変化を系統的に調査した。加工率36:1,せん断角度90°加工速度1mm/s,加工温度293Kにおいて最も良い超塑性特性が得られることを明らかにした。ひずみ速度1.5×10^<-4>s^<-1>における破断伸びは1600%に達し、同様な加工条件の下で、押出しとECAPを別々に行った試料で得られる破断伸び970%の約1.6倍にも及ぶ。超塑性の発現のしやすさを示すひずみ速度感受性指数も、最大破断伸びが得られるひずみ速度域において、0.5から0.7へと向上した。押出しとECAPを別々に行った試料に比べて、押出し・ECAP一体型強ひずみ加工による試料のα,β両相はより等軸状であり、試料全域にわたって微細・均一に分散した。押出し・ECAP一体型強ひずみ加工を施した試料の結晶粒径は1μmであり、押出しとECAPを別々に行った試料のそれよりも小さい。動的再結晶粒のアスペクト比は、押出しとECAPを別々に行った試料では1.3であるのに対して、押出し・ECAP一体型強ひずみ加工した試料では1.1とより等軸であった。押出し・ECAP一体型強ひずみ加工の方が押出しとECAPを別々に行う加工に比べて、製品欠陥となるキャビティーが小さく、またその量も少ないことがわかった。しかもキャビティーが発生し始める変形彙は、押出し・ECAP一体型強ひずみ加工の方が押出しとECAPを別々に行う加工よりも大きい。これらのことから、押出し・ECAP一体型強ひずみ加工プロセスは、マグネシウム合金の超塑性加工の高速・低温・キャビティーレス化に有効なことを確認した。
|