研究概要 |
平成18年度において,アンモニウム系の電解水の特性およびシリコンウエハーに及ぼす影響について,実験的な検討を行うと同時に,工業用純ニッケル材,無酸素銅材の表面に及ぼす電解水の影響,電解還元水を用いたシリコンウエハーの研磨についても実験を行ってきた.主な成果は次のとおりである. I.アンモニウム系の電解水によるシリコンウエハーの洗浄について 1.アンモニウム系の電解還元水は,pHの値11.0〜11.3,ORP(vs.Ag/AgCl)が-600mV〜-840mv,電気の伝導率が69mS/m〜80mS/mとなっており,電解酸化水はpHの値が2.95〜3.50,ORPが約1050mV,電気伝導率が約80mS/mとなっている. 2.シリコンウエハーの表面に対するエッチングレートについて,アンモニウム系電解還元水はNaCl電解還元水より小さいが,一定の大きさとなっている.また,NaCl電解還元水と比べ,同様な微粒子除去能力がある. 3.オージェ分析結果より,5分程度の浸漬では,アンモニウム系の電解水はシリコンウエハーの表面に悪影響を与えない. II.ニッケル材・無酸素銅材表面に及ぼすNaCl電解水の影響 1.電解還元水はニッケル材および無酸素銅材の表面に影響を一切与えないが,電解酸化水はこれらの材料に対して強いエッチング能力がある.そのエッチングレートは同pH値のHCl溶液より大きくなっている. 2.電解酸化水および電解還元水は,これらの材料表面の脱脂洗浄に応用することが可能である. III.NaCl電解還元水を用いたシリコンウエハーの研磨 1.研磨スラリーの替りに,電解還元水を用いて,シリコンウエハーを研磨することが可能である.研磨レートはスラリーの半分であるが,研磨パッドの目詰まりおよび研磨面の性質(表面粗さ)においては,研磨スラリーよりよい.
|