研究概要 |
平成20年度において,主に金属イオン残渣除去,および電子・電気材料の表面酸化皮膜除去を目的として,リードフレーム用銅合金および,Fe-42wt%Ni合金,純鉄材,純ニッケル材などの表面に与える電解水の影響の解明について実験的な検討を行った.主な成果は次の通りである. I. リードフレーム用銅合金について(精密工学会誌,Vol.74 No.9 2008年 pp.949-953) (1) 検討内容: 希薄NaCl電解水がCu-2.3wt%Fe, Cu-3.0wt%Ni合金の表面に及ぼす影響についてHCl溶液と比較して検討を行った (2) 検討結果: 電解還元水はこれらの合金の表面に影響を一切与えない.電解酸化水は,HCl溶液と比べ,これらの合金に対して,2倍以上の高いエッチング能力がある.また,電解酸化水は,銅合金表面の酸化皮膜除去に応用できるが,Cu-2.3wt%Fe合金の場合,処理時間が長くなると,電解酸化水中の溶存酸素が合金表面層に拡散してしまう可能性がある. II. Fe-42wt%Ni合金(42材と略称)について(精密工学会誌,Vol. 74 No. 8 2008年 pp. 820-824) (1) 検討内容: NaCl電解水がFe-42wt%Ni合金表面に及ぼす影響の解明と,エッチング性能の有無 (2) 検討結果: 電解還元水は42材の表面洗浄に応用でき,電解酸化水はHCl溶液と比べ,42材に対して高いエッチング性能がある.また,処理時間を最適化にすれば,42材の表面酸化皮膜を除去できる.
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