研究概要 |
本研究では金属材料の腐食と材料表面近傍における流動パラメータとの関係を調べ,化学プラントなどの配管の異常腐食を予測することを目的とした。昨年の研究では,試験装置内の流動状態を測定し,液流動下における腐食と流動状態との関係を調べ,材料表面近傍における流体の流速や乱れに起因する流速変動などの流動パラメータに用いた浸食量の推定式を提案した。本年度は,提案した推定式を実プラントへの適用するため,流動シミュレーションの検討を行った。まず,流動シミュレーションの妥当性を確認するため,試験装置内の流動シミュレーションを行った。計算ではSCRYU/Tetra(ソフトウェアクレイドル(株))を用い,解析モデルを2次元軸対称モデルとし,層流非定常計算により材料表面近傍の流れ解析を行った。計算の結果,メッシュを小さくすることによって,昨年度測定された流速変動を流動シミュレーションにおいても再現することができた。計算から求められた材料表面近傍の平均流速,流速変動,壁面圧力についても実測データとほぼ一致した。流動シミュレーションから得られた流動パラメータを昨年度提案した推定式に代入し,黄銅の浸食量を計算したところ,腐食試験で求められた実測値と良好に一致させることができた。実プラントへの適用については,実プラントの配管における流動シミュレーションとしてオリフィス周りの流動解析を行い,オリフィス下流で流体中の流速変動が生じていることが分かった。計算による流動パラメータを推定式に代入し,浸食量を計算したところオリフィス周りの浸食量と一致させることができた。
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