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2006 年度 実績報告書

錫ウィスカ発生に及ぼすめっき錫の残留応力および共析水素の影響評価とその抑制

研究課題

研究課題/領域番号 17560637
研究機関九州工業大学

研究代表者

津留 豊  九州工業大学, 工学部, 助教授 (50089950)

キーワード錫ウィスカ / めっき錫 / 残留応力 / 歪みゲージ / 水素発生 / 水素共析 / 欠陥 / 錫拡散
研究概要

錫めっき浴には,平成17年度と同様の硫酸-クレゾールスルフォン酸錫溶液を利用した。錫めっきは,素地に市販の真鍮板を対極に錫板を使用して,電流密度20mA/cm^2,電気量5.9C/cm^2,浴温度0,5,10,15,20,25℃および無攪拌の条件で行った。錫ウィスカの発生は,錫めっきした試料を温度50℃の恒温器内に静置して光学顕微鏡を用いて評価した。錫めっき膜の残留歪みは,その裏面に歪みゲージを貼った真鍮電極と高感度歪み計を用いリアルタイムで測定した。その結果,(1)めっき初期に素地とめっき錫間の格子不整合による引張歪みが現れその後圧縮歪みへと変化する。(2)圧縮歪みは浴温度が低いほど大きな値となる。(3)錫電析のための電流効率は浴温度が低いほど減少し水素発生が顕著となる。(4)めっき錫の粒径は浴温度が高いほど大きくなる。(5)電解を停止するとその圧縮歪みは速やかに減少し,その後徐々に引張歪みへと変化する。(6)錫電析以外の電流が総て水素発生に使われたと仮定すると,電解停止直後の圧縮歪みは水素発生のための電流効率に比例して大きくなる。ところで,めっきに伴う水素ガスは,[1]気体としてめっき膜外に脱離するものと,[2]めっき膜の内部に留まるものに分かれる。本研究では錫めっきを行いながら,付着ガスが電極に誘起する浮力を利用して電子天秤を用い発生水素ガス量をリアルタイムで評価したところ,水素ガスはめっきに伴い発生して電極に浮力を誘起するが,電解停止に伴い電極から速やかに離脱することが明らかとなった。また波長分散型X線分光器付きの走査型顕微鏡によるその断面観察から,めっき錫内には素地の真鍮から拡散した亜鉛の存在が確認された。
この様な結果は,錫めっきに伴い共析した水素がめっき膜に圧縮歪みを誘起するとともに,その後脱離することで圧縮歪みの緩和およびめっき錫膜への欠陥の導入をもたらし,素地真鍮からめっき錫への亜鉛の拡散が促進されたことを示唆している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (6件)

  • [雑誌論文] コバルト-ニッケル合金電析膜の耐磨耗性に及ぼす酸化物の影響2007

    • 著者名/発表者名
      津留 豊, 古川雄貴, 松永守央, 大溝利行, 松尾正昭
    • 雑誌名

      表面技術協会第115回講演大会講演要旨集 115

      ページ: 92-93

  • [雑誌論文] 電析銅の形態に及ぼす添加剤の影響2007

    • 著者名/発表者名
      津留 豊, 中尾貴裕
    • 雑誌名

      電気化学会第74回大会講演要旨集 74

      ページ: 366

  • [雑誌論文] ニッケルめっき膜の引っ張り応力に及ぼす共析水素による2-プチンー1,4ージオール水素化の影響2006

    • 著者名/発表者名
      津留 豊, 徳田朋稔, 国崎賢治, 稲森秀一
    • 雑誌名

      表面技術 57

      ページ: 727-732

  • [雑誌論文] 硫酸ナトリウム水溶液における鉄の腐食と濡れ2006

    • 著者名/発表者名
      津留 豊, 吉井由香, 末松 仁, 片山英樹
    • 雑誌名

      材料と環境 55

      ページ: 511-514

  • [雑誌論文] 亜鉛電析反応を利用したメニスカス層構造評価の試み2006

    • 著者名/発表者名
      津留 豊, 田平基樹
    • 雑誌名

      表面技術協会第114回講演大会講演要旨集 114

      ページ: 229

  • [雑誌論文] コバルト-鉄合金電析に及ぼす溶液pHの影響2006

    • 著者名/発表者名
      津留 豊, 白石宏和, 菊池仁志
    • 雑誌名

      2006年電気化学会秋季大会講演要旨集

      ページ: 272

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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