研究概要 |
2年目となる平成18年度は,液体膜の除湿性能の検証および操作条件の最適化を検討した平成17年度の成果を発展させ,表面含浸膜構造の最適化と,空気中の炭酸ガス回収プロセスおよび空気中の有機蒸気回収プロセスへの応用を検討した。表面含浸膜の最適化に関しては,コロナ放電処理の電圧と回数を種々検討し,多孔質膜の片側面が50mN/m,裏側はオリジナルの21mN/mとなる条件を見いだした。この条件の多孔質膜により,液体膜を20-30μm厚みとし,膜間差圧3kPaまでの耐圧のある液体膜装置とすることができる。この膜を上下面両側に設置した,30cm角の膜モジュールを製作し,ジグリコールアミン液体膜による炭酸ガス分離性能を調べた。炭酸ガス/窒素系および炭酸ガス/メタン系においてこの膜は分離係数20以上で,高分子膜に比べて1オーダー大きい透過速度を得た。この炭酸ガス分離膜を応用した空気中の炭酸ガスを回収して,炭酸ガス濃縮空気を供給する膜装置を構成した。この装置により2000ppm以上の炭酸ガス濃縮空気を供給出来ることが示され,その装置設計の基礎モデルも確立した。この炭酸ガス濃縮空気供給装置は人工栽培温室における炭酸ガス補給装置としての実用化を期待している。また,トリエチレングリコール液体膜を応用して,空気中の有機蒸気の分離。回収性能を調べた。本装置により,空気中のアルコール蒸気や炭化水素蒸気が分離できることが示され,その装置設計モデルを確立した。
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