近年、機能性物質や新規材料の開発に伴い、原材料の表面改質や微細化の要求が高まっている。微細粒子の表面改質の有用な手段の一つとして、微粒子コーティングが挙げられる。微粒子コーティングとは、一個のシード粒子の表面に、微小な粒子をコーティングさせることである。微粒子の単核コーティングが実現できれば、微細でハンドリングの困難な有用物質がハンドリングの容易なシード粒子にコーティングされることになり、機能性微粒子として応用範囲が広がる上に、これらを原材料とする新規な機能性物質にも機能の付与が効率よく行えると考えられる。そこで、本研究では、有用物質である超微粒子をシード粒子である微粒子に単核コーティングした機能性微粒子の連続製造を目的とするものである。 本実験においては、微細で付着凝集性が強くハンドリング困難な環境浄化物質であるチタニアをハンドリング容易なガラスビーズやシラス微粒子などの基質にコーティングすることにより、環境浄化機能を備えた機能性微粒子の調製を試みる。実験条件として、基質粒子の安定な循環が得られるドラフト管基準の空塔速度範囲を選定する。また、バインダー液濃度、コーティング粒子濃度は、液滴噴霧装置である二流体ノズルの閉塞を避けるように、これまでの蓄積データを基に決定する。 これまでの結果として、基質をガラスビーズとした場合、コーティング率は低いが、単粒子率は80%程度のコーティング生成物が得られた。 今後、南九州全域に賦存しているシラス微粒子を基質として利用し、安価で取扱容易な環境保全物質としての機能性微粒子の調製を試みる。
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