研究概要 |
本年度は,先ずイオン液体を含む系の化工物性のデータ検索を行い,文献を入手した.文献よりまとめた総説は次の書物に掲載された. 大野弘幸監修:イオン液体II-驚異的な進歩と多彩な近未来-(フジテクノシステム) 第4章 計算化学による物性予測(栃木勝己) 4.2 混合物-相平衡,輸送物性- 4.2.1 常圧気液平衡 4.2.2 無限希釈活量係数 4.2.3 液液平衡 4.2.4 固液平衡 4.2.5 ガス溶解度 4.2.6 高圧気液平衡 4.2.7 粘度,伝導度 4.2.8 今後の課題 また,イオン液体を含む系の相平衡推算に関して高分子討論会で依頼講演を行い,グループ寄与法の適用範囲,精度などを説明した. 次に文献情報(PVT関係と液体の密度,熱容量とエンタルピー,気液平衡,溶解度,粘度,伝導度,拡散係数)を化工物性検索・評価・推算データベースPCPCE・ASOGDBに組み込んだ.PCPCE・ASOGDBは化学工学物性定数(化学工学会編)とASOGによる相平衡推算法を両輪とするデータベースであり,イオン液体物性データベースの名称でその応用部に組み入れてある. 実験的には,ガスクロマトグラフ法により無限希釈活量係数を測定した.用いたイオン液体は1-ブチル-4-メチルピリジニウムテトラフルオトボレート(4MBPBF4)であり,溶媒はベンゼンとアセトンである.363Kと378Kで測定したところ,5.03と5.19(ベンゼン)および3.95と4.17(アセトン)の数値が得られた.これらの値と文献値より,ASOGパラメータを決定する.
|