研究概要 |
本年度は,昨年度に引き続き,イオン液体の物性文献情報の検索を行い,数値情報についても純物質の粘度,イオン伝導度,融点を収集し,コンピュータ入力を行った,文献情報と数値情報は,筆者らが構築中の化工物性検索・評価・推算データベースPCPCE・ASOGDBの応用部に内臓されている. 推算については,イオン液体の粘度と密度について,多項型展開式と遺伝的アルゴリズムおよびグループ寄与法を組み合わせた推算法を提案し,アメリカ化学工学会の年会で発表した.次に,バッテリーの設計に必要なイオン伝導度も適用できる推算法を提案し,J.Chem.Inf. Modelに論文投稿中である.さらに,希望する物性値より化合物を選択する,すなわち,逆推算を用いる分子設計法を平成19年5月にギリシャで開催されるPPEPPD2007で発表予定である.また,混合物の相平衡推算に用いるASOGによる活量係数推算法の検討も開始した. 実験は,昨年度おこなったガスクロマトグラフ法により,無限希釈活量係数を測定した.測定は,昨年と同様,1-ブチル-4-メチルピリジニウム テトラフルオロボーレート(4MBPBF4)中のアセトンの無限希釈活量係数であり,温度範囲323,333,343Kで測定したところ,2.18,2.23,2.37の値が得られた.来年度は,系を変えて測定する予定である.また,液液平衡の測定も開始した.ブチルメチルイミダゾリウム ヘキサフルオロボレート(BMIMPF6)+1-ブタノール系の350K〜380K(101.1kPa)の液液平衡を測定したが,まだ,発表には至っていない.
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