研究概要 |
イオン液体の分離溶媒としての可能性を探索するには、イオン液体自身の物性とイオン液体を含む混合溶液のかつ量係数を知る必要がある。 本年度は,昨年に引き続きイオン液体を含む系の化工物性のデータ検索を行い、その情報は筆者らが構築している化工物性検索・評価・推算用データベースの応用部に蓄積し、「実用製造プロセス物性集覧」(分離技術会編)」にも一部は紹介した。 次に,イオン液体の物性推算については、イオン液体の粘度,融点,イオン伝導度などの熱力学物性をChemiInformatics手法を用いて推算し、J. Comp. Aided Chem.およびJ. Phys. CHem. Cに投稿した。また、物性の数値を与えて、その物性値を持つ候補化合物を探索する逆設計についても検討し、Fluid Phase Equilibriaに投稿した。 さらに実験については、ガククロマトグラフ法により1-butyl-4-methylpyridinium tetrafluoroborate中のacetoneの無限希釈活量係数を測定し、文献値と比較した。また1-buyl-3-methylimidazolium hexafluorophosphate+1-butanol系と1-hexy1-3-methy1 imidazolium hexafluorophosphate+1-butanol系の2成分系相互溶解度を白濁法により測定し、活量係数式で相関した。この結果はJ. Chem. Eng. Dataに投稿準備中である。 今後,グループ寄与法ASOGおよびPRASOGパラメータを決定することにより、得られたグループ対パラメータを用いたイオン性液体の分離溶剤としての選定法を提案することが可能になると思う。
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