申請者らが発案し、研究を行なってきた「イオン化CVD法」を展開し、これまで気相合成法では実現できなかった(1)粒径10nm以下の非凝集ナノ粒子を合成し、(2)基板上に沈着させ、短時間で高密度ナノ粒子薄膜を製造する技術の開発を目的とした高密度ナノ粒子薄膜合成システムを開発する。 H19年度は、下記4点について検討を行なった。 1.前年度に得られたナノ粒子合成条件(Co(CO)_3NO濃度、イオン化条件(圧力、印加電圧)、反応管温度、反応時間(キャリアガス流量)、捕集電極電圧)に基づいて、ナノ粒子をSi基板上に沈着させ、Coナノ粒子薄膜を合成した。 2.種々の条件で合成されたCoナノ粒子薄膜のFE-SEM観察により、粒径、沈着密度を求めた。 3.種々の条件で合成されたCoナノ粒子薄膜の磁気特性をSQUIDにより評価した。 4.CQナノ粒子の粒子サイズが磁気特性に与える影響を調べた。 これら結果、平均粒径14、21、24nmの非凝集Coナノ粒子が1x10^<11>個/cm^2の高密度沈着で20x20mm^2のSi基板上に均一に沈着したCoナノ粒子薄膜の合成に成功した。合成した薄膜の磁気特性を測定したところ、合成された粒子は0.116Tの保磁力を示し、強磁性体であることがわかった。さらにCoナノ粒子薄膜を熱酸化膜被覆Si基板上に合成し、電極をつけて磁場中での電気抵抗を測定したところ、最大83.3%の磁気抵抗を示した。この薄膜の磁気抵抗係数を計算したところ、1002%であり、現在報告されている磁気抵抗係数の最高値に匹敵する値が得られた。
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