17年度は触媒表面構造モデルの推定と装置の改良を行った(下記要点)。 1.触媒表面構造モデル 比較対照として物理混合で調整した硫酸化ジルコニア・アルミナ(SZA)触媒を用い、各種解析装置により構造解析を行った。 (1)共沈法により調整したSZAはAlの添加量に依存して結晶化が抑制されたが、物理混合SZAではこの効果はなかった。特に単斜晶ジルコニアは硫酸根の安定性が悪いことが指摘されており、活性の低下が懸念されるため、共沈法によるAl添加によって結晶化が抑制できることは意義深い。 (2)硫酸根の熱安定性については、共沈法によりAlを添加したSZAではAl添加量に応じて安定性が向上していたが、物理混合によるSZAでは安定性の向上は見られなかった。 (3)XPSのZr3dスペクトルからは、物理混合によるSZAではZr原子上の電子状態に変化は見られないのに対し、共沈法によりAlを添加したSZAではZr3dの結合エネルギーが増加しており、Zr原子上の正電荷が高められていることがわかった。 以上のことから、共沈法によって導入されたAl原子はアルミナとして存在しているのではなく、ジルコニア骨格を形成している元素の一部として存在しており、骨格内に取り込まれたAl原子によってより強いルイス酸点が形成されていることがわかった。 2.反応活性評価 送液ポンプおよび背圧弁を装備し、再現性よい反応結果が得られることを確認した。反応基質にn-ペンタンを用いて常圧反応を行った結果、共沈法によるSZA5(Al_2O_3=5mol%)が最も高い反応活性速度を示した。これはAl元素添加これ以上のAl添加では表面積の大幅な減少や有効活性点数の減少を招いていると推察している。
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