研究概要 |
18年度は触媒表面構造モデルの推定と異性化反応活性の評価を行った(下記要点)。 1.触媒表面構造モデル 比較対照として物理混合で調整した硫酸化ジルコニア-アルミナ(SZA)触媒を用い、各種解析装置により酸点の発現機構とAl元素の添加効果を明らかにした。 酸性質の面からもAlの最適添加量は,ZAに対してアルミナ換算で3-5mol%であり,この範囲においてSZAはAlの添加量増加に伴いルイス酸点・ブレンステッド酸量ともに増加した.また,SZAについても酸点発現機構を推定し,SZAにおいても高温で焼成すると表面に吸着していた水が脱離して硫酸根の電子吸引性が強まり,Zr原子が強く正に帯電してルイス酸点として,ここに吸着した水が解離してブレンステッド酸点として働くというSZと同様の機構であった.共沈法により添加したAl元素は添加量がアルミナ換算5mol%以下の場合ジルコニア骨格内に取り込まれていると思われ,添加したAlによってZr上の正電荷性が高められていた.このことからジルコニアの骨格内に取り込まれたAl原子によってより強いルイス酸点が形成されていることがわかった。 2.反応活性評価 硫酸化ジルコニアおよび硫酸化ジルコニア-アルミナを用いて超臨界条件下でのアルカン異性化反応を行った.n-ブタン,ペンタンともに異性化反応を気相または液相条件で行なうと触媒の活性劣化が見られたが,超臨界点をわずかに超えた条件で反応を行うことにより顕著な活性劣化は見られず定常活性を得ることができた.しかし,超臨界条件下であっても反応温度が高すぎるとコーキングによる顕著な活性劣化が起こることがわかった.新規SZA触媒はAl添加量がアルミナ換算で3-5mol%の範囲でn-ブタン,ペンタンの異性化反応において従来のSZよりも高い触媒活性を示し,酸強度が高まっていることがわかった。この新規SZA触媒を用いてアルカンの異性化反応を超臨界条件下で行うことにより,その高い活性を維持できることが明らかとなった.
|