研究概要 |
固体酸プロセス化はグリーンケミストリーの観点から重要である。本研究は(1)フェノールとホルマリンを用いたビスフェノールF合成、(2)2,6-ジメチルフェノールとホルマリンを用いたビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メタン(テトラメチルビスフェノールF)合成、および(3)アニリンとホルマリンを用いたビス(4-アミノフェニル)メタン(メチレンジアニリン)合成の固体酸プロセス化のための触媒探索を行い、これらの合成反応に適した不均一系触媒プロセスの設計指針を明らかにした。すなわち(1)いずれの合成反応においても、ホルムアルデヒドは反応性が高いため弱い酸点しか有しない固体酸触媒であっても高い活性を有する。また、水の存在する系なので、触媒表面はある程度疎水性でなければならない。(2)(1)の場合、反応場の大きさは4,4'-体への選択性と無関係であるため、選択性を高くするためにはフェノール/ホルムアルデヒド比を高くしなければならない。(3)(2)の場合、ゼオライトは細孔径が小さいため活性は小さく、メソポーラスモレキュラーシーブ触媒は高い活性を示す。また、4,4'-体への選択性はほぼ100%であるので、反応物質の比を自由に変えられる。(4)(3)の場合、ゼオライトもメソポーラス触媒も高い活性を示す。しかし、4,4'-体への選択性は反応場の影響を受け、メソポーラス触媒に比べて脱アルミニウムしたYゼオライトが高い選択性を示す。
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