研究課題/領域番号 |
17560688
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大河内 美奈 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 講師 (70313301)
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研究分担者 |
本多 裕之 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70209328)
井藤 彰 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助手 (60345915)
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キーワード | 有機溶媒耐性 / 微生物 / 分子シャペロン / プレフォルディン |
研究概要 |
微生物の有機溶媒耐性機構は、微生物を利用した水-有機溶媒二相系における有用物質生産への産業利用の点から注目されている。本研究では、DNAマイクロアレイを用いた解析により、有機溶媒と接触した後に高発現が確認された遺伝子群に細胞のストレス応答に関与する分子シャペロンが多く見出されたことから、分子シャペロンに着目し、有機溶媒耐性株の作製を目指した。 (1)遺伝子発現解析に基づいた分子シャペロンの選定と溶媒耐性関連遺伝子の探索 有機溶媒耐性を有する大腸菌変異株を用い、有機溶媒添加後の遺伝子発現変動を調べた結果、分子シャペロン関連では発現変動が2倍以上増強された遺伝子が19個見出された。そこで、1、2分後に最も発現増強が確認されたyehC、hslVおよび5分後に3倍以上の発現が確認されたclpA、clpB、dnaK、hslUについて発現系を構築し、その有機溶媒耐性を測定した。その結果、clpA、clpB高発現株においては溶媒耐性の減少が確認され、その他については変化が見られなかった。 (2)超好熱性古細菌由来分子シャペロンによる有機溶媒耐性の向上 極限環境で生育する古細菌のタンパク質は熱安定性が高いばかりでなく有機溶媒に対する耐性が高いことが示唆されている。超好熱性古細菌由来シャペロンの発現系を大腸菌に形質転換し、溶媒耐性を評価した結果、Pyrococcus horikoshii OT3由来プレフォルディン(Phpfd)導入株において、溶媒耐性の向上が確認された。Phpfd導入株は、オクタン、ヘキサン混合溶媒(1:1,v/v)で増殖でき、細胞内の溶媒取込量は、コントロール株に比べ低く抑えられた。PhPfdは、変性中間状態にあるタンパク質をアレストすることから、有機溶媒との接触によるタンパク質の変性を抑え、細胞内溶媒取込量を低く保持することで大腸菌の有機溶媒耐性を向上していることが示唆された。
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