平成17年度は、衝撃波風洞を用いた超音速気流生成に関する基礎実験ならびに超音速可燃性混合気中にデトネーションを導入する試験部の設計・製作を行った。具体的に得られた成果は以下の通りである。 1.現有のデトネーション駆動型衝撃波風洞の低圧部を、3095mmから最大8790mmまで延長することにより超音速気流持続時間の拡大を図った。その結果、ノズル出口における静圧は、同一の高圧部条件において約20%減少したものの、静圧一定と見なせる試験時間が0.7msから2.0msに拡大した。 2.低圧部と高圧部の全長を一定としてその長さの比を2段階に変化させて、ノズル出口における静圧一定の時間を計測した。その結果、高圧部2080mm+低圧部8790mmの組合せよりも、高圧部3140mm+低圧部7730mmの組合せの方が、静圧一定の時間が大幅に長い結果となった。これは気流持続時間が、デトネーションが高圧部管端に到達するのに要する時間と、その後で高圧部管端より生じる膨張波がノズルへ到達するのに要する時間とに密接に関連していることがわかった。 3.ノズル前方の貯気槽状態の高温・高圧の空気に対してOH消光測定を行い、駆動気体である燃焼ガスに含まれるOHの検出することにより、駆動気体が空気流を汚染する時刻を調べた。その結果、衝撃波管シミュレーションプログラムではノズル出口における空気流の持続時間が約5msである条件において、駆動気体に汚染されていない純空気流の持続時間が0.4msであった。これより、駆動気体による汚染は予想以上に早い段階で生ずること、ノズル入口部における形状も重要であることがわかった。 4.現有の衝撃波風洞と接続して使用可能な、超音速可燃性混合気中にデトネーションを導入する試験部の設計・製作を行った。試験部は20mm×40mmの矩形断面で全長は約450mmとし、試験部の中央から垂直にデトネーションを導入する構造とした。
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