本研究の目的のひとつである情報量フィードバックを用いた衝突回避制御とは、周辺領域に存在する航空機の有無を判断する情報量を航空機の位置制御にフィードバックする制御である。より確実な情報を得るために積極的に位置を変更し、不確定情報を減らして衝突の危険性を回避する制御手法である。研究の初年度である本年度はソフトウエア環境の整備に重点が置かれ、制御系設計ツールで設計された制御系をシミュレーションツール上で実施するなど基本動作を確認した。最適軌道計算では、個人的に開発し使用している傾斜法をオペレータ負荷の低減を目的とした改良のほかに、搭載性を考慮してホモトピー法によるアプローチを開始した。当手法は二点境界値問題で与えられる最適解の必要条件を、差分方程式により非線形連立方程式へ変換して解くものである。非線形問題を近似せずに解を得るため、定積分で最適解が得られ、有限回の計算量で解が得られる特徴がある。定積分実行中に発生する特異点を回避する定式化を提案し、随伴変数の初期仮定解を自動で求めるアルゴリズムの検討を行った。その結果、初期仮定解を最適解近傍に設定する必要など間接法特有の問題点は指摘されたものの、当初の目的である解法の確立は達成できた。次年度以降は本手法を用いてヘリコプタの最適回避軌道の生成を試み、良好な結果が得られれば、搭載を考慮した実用例を試みる。数値流体解析の面では、非構造格子を活用した計算手法の精度に関する研究発表を行ったほかに、次年度以降に向けてのソフトウエアの開発を進めた。
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