研究課題
本研究は熱制御材として宇宙構造体の表面に使用されており耐紫外線性の低いテフロンFEPについて、低地球軌道環境における原子状酸素および紫外線の複合照射効果を地上実験で定量的に解析することを目的とするものである。平成18年度は、QCM上に成膜したテフロンFEPおよび比較のために耐紫外線性の高いポリイミド(BSF30#2)を試料として、前年度に開発した極端紫外線(EUV)を除去するための紫外線チョッパーを用いて原子状酸素、紫外線の単独照射および複合照射効果について調べた。その結果、BSF30#2では、EUVのみ照射した場合には全く質量変化は観察されなかった。また、原子状酸素とEUVを同時に照射した場合には、原子状酸素のみ照射した場合よりも若干のエロージョンレートの増加が確認されたことからBSF30#2については原子状酸素とEUVの複合効果があるものと考えられた。一方、テフロンFEPにおいて同様の実験を行った結果、原子状酸素のみ照射および原子状酸素とEUVを同時照射した場合には非常に大きなエロージョンを示したが、EUVのみ照射した場合には質量減少はほとんど観察されずBSF30#2と同様の挙動を示し、FEPにおける極端紫外線の効果については予想に反する結果が得られた。本研究の結果は、これまで原子状酸素と紫外線の複合効果として理解されていたFEPのエロージョンが他の反応プロセスに起因する可能性を示唆するものであり、今後詳細な研究が必要である。
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Proceedings of 10th International Symposium on Materials in Space Environment, 8th International Space Conference, Protection of Materials and Structures from the LEO Space Environment ESA-SP616(CD-ROM)
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