研究課題
基盤研究(C)
BRM研修は、船橋に勤務する船舶の乗組員間に存在する権威勾配の弊害をなくし、船舶乗組員か良好なコミュニケーションとチーム力を通じてエラーの発生を抑制ならびに発生後のエラー連鎖を断ち切るための連携行動の必要性を理解し、身に着け、そして、海難事故を未然に防ぐための意識改革研修である。本研究においては、BRM研修をより実効性あるものにするため以下の二点を目標とする研究を実施した。(1)船本来の特性を踏まえた船オリジナルの新しいBRM研修法の設計、(2)BRM研修に伴う意識改善の効果を定量的に評価する手法の開発。(1)に関しては、組織における安全管理をチーム力により向上させる考えは職務種類の如何に関わらず共通しているとの認識のもと、海上でも、陸上でも、また、現場で働く者にも組織管理に当たる者にも、誰にでも共通するBRMの根幹思想を総合化、体系化し、新たに神戸大学版TRM(Team Resource Management)研修を設計し、これを用いた企業研修を実施した。この研修は、チーム力による問題解決に主眼をおき、ヒューマンエラーの発生防止に備えるためのハザードマネジメント(Hazard Management)と生じたエラーを事故に結び付けないためのエラーマネジメント(Error Management)からなり、≪知識獲得・意識改革≫を目標とした講義主体の研修となっている。(2)に関しては、アンケート方式による研修受講前後における意識の変化に関する調査、TRM意識の行動実践への反映調査、時間経過に伴うTRM意識の持続に関する調査、を対象に調査方式を確立し、そして、これらの評価データを分析して新たに設計した研修方法及び開発した評価手法の妥当性を検証した。最終的な研究成果の一部は「国際海事大学連合」(International Association of Maritime Universities,IAMU:世界の海事系大学の連合組織体、IMOのNGO組織)を通じて公表した。
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